兵庫県内に存在する空き家は平成30年の調査によると約36万戸であり、その数は今後も少子高齢化社会の進展を背景にして増えていくものと予測できます。この様な状況を踏まえ兵庫県においても古民家再生促進事業や空き家活用支援事業といった、空き家対策事業に取り組んでおります。基礎自治体や民間事業者においても中心市街地や商店街などに空き家が増えることで地域の衰退傾向への危機感から地域振興策として様々な取組を模索されております。その中でも空き家再生を核とした、たつの市の取組(昨年の建設常任委員会での管内調査で訪れました)をご紹介します。
たつの市役所とまちづくりNPOが窓口となりUJIターン希望者を募ります。同市には隆盛を誇ったしょうゆ蔵やそうめん工場、その経営者一族の趣ある立派な邸宅群などが活用されないまま残っているものも多くあり、そういった空き家や古民家を活用すべく、NPOの構成団体でもある畑本康介氏率いる緑葉社などの専門業者さんたちが適正価格で買い受けるべく折衝します。売買の買主は地元企業の経営者や、現在は地元を離れているもののふるさと龍野を愛する方々で龍野に役立つ不動産投資であればと多数オーナーとなっています。おしゃれなカフェやお土産物屋さんに生まれ変わった古民家の役割は空き家対策だけでなく、地域振興策としての活性化が期待できるものでもあります。
たつの市でのビジネスモデルなども参考に次の展開として、UJIターン世帯への支援策なども絡め、空き家や古民家の活用を後押しする仕組みづくりなどに注力すべきだと考えますが、さらなる支援策について当局のご所見をお伺いいたします。
答弁 井戸敏三 知事
これまで県としては、古民家で28件、空き家で304件の改修補助を行い、住宅のほか、カフェや宿泊施設等に再生して、地域活性化や移住定住に繋いできました。たつの市の城下町地区においては地元出身者からの投資を活用した新規出店が28店舗に達しており半数は移住者によるものです。城下町地区以外では、NPO法人が所有者に空き家の活用を働きかけ、所有者に代わり空き家バンクへの登録作業を行うことなどによって60戸の空き家が活用され、県内外からの移住促進に結びつけています。
県としても、このような地方回帰への流れを県下各地で加速させるため、今年度は古民家の補助上限額を市町と合わせて1,000万円に増額しました。来年度からはUJIターン者が空き家を住宅や店舗等に活用する場合の改修費補助を増額しております。またコロナ禍で浸透したテレワークに対応する空間整備を推進するため、コワーキングスペース改修時のwi-fi等、設備費の補助対象やワーケーション施設への改修費補助の増額により交流人口の拡大を図ります。
空き家所有者に対しては周辺の取引価格のアドバイスや、活用希望者に改修プランやコストを提示するなど、双方に対しきめ細かなサポートを行う仕組みづくりを検討してまいります。今後も、古民家や空き家の積極的な活用を推進していきますので、よろしくお願いいたします。