障害者福祉事業における農業の活用 (農福連携) について(第353回定例会 一般質問②)

県では現在、障害福祉事業所への支援策として、複数の農福連携事業に取り組まれています。

農福連携の成功例として、「㈱エスプール」(本社:東京)の取組をご紹介します。エスプールが農地を借り上げ、地元の農業者を指導者として障害者が耕作に従事する農園を運営します。一般企業は分割された区画を借り上げ、各区画で耕作に従事する障害者は企業と障害者雇用契約を結びます。各企業は障害者を雇用することで障害者の法定雇用率を達成でき、障害者は農園で働き企業から賃金をもらいます。エスプールは地元の自治体との協定を結び自治体の支援のもとに、地元の農業者、障害者および支援者、企業を繋いでいます。千葉県などの関東エリアと愛知県などの中部エリアですでに多数の障害者農園を運営しており、関西においても障害者就労農地を実現させたいとの意向により、前向きに協議を重ねております。

農福連携に意欲的な兵庫県としてもこのプランもご認識いただき、合わせて本県における農福連携のこれまでの取組と、その中で得た知見、また農福連携への今後の取組方針について当局のご所見をお伺いいたします。

答弁 井戸敏三 知事

(株)エスプールが推進する事業は、参加する企業が障害者を一般雇用し、生産した農産物は社員食堂等で自家消費されるもので、企業の障害者雇用率の上昇に寄与する特例子会社の一形態と考えます。農業分野での障害者の活躍や農業の担い手不足の解消については十分ではないかもしれませんが、農業の場での障害者の活動が図られるという広い意味では農福連携に位置づけられると思います。

県では、障害関係者と農業者の相互理解から、障害者の働く場の拡大や工賃の向上のみならず、地域との交流促進が図られるように取り組んできています。「農福連携インターンシップ事業」や「障害福祉事業所農業参入モデル事業」を来年度からは、農政と福祉行政が連携して県内の農業者からの照会・相談対応等をワンストップで行う窓口を設置し、さらなる農福連携の機運醸成と理解促進に向け取り組んでまいります。

今後も、障害者と農業者が相互に理解を深め、協力する事業を実施し、双方が「Win・Win」の関係となるような農福連携を推進してまいります。エスプールの事業が兵庫で展開されるなら、我々としても協力できるところは協力していきたいと考えております。