ウィズコロナを踏まえた高齢者施策の充実について(第360回令和4年12月定例会代表質問③)

(1) 老人クラブ活動強化推進事業について

 県当局は県政改革方針の中で
①月額補助額3千5百円について、健康づくりの実施・普及促進への助成から、新型コロナウイルス感染症等の環境下での地域活動に対する補助へ再構築
②活動内容は市町、関係団体等の意見を踏まえて検討と修正され、見直しにあたっては、市町や老人クラブ連合会等の関係団体に対し丁寧な合意形成を図ることとされました。
しかし、県政改革方針が策定された後も県下の高齢者及び老人クラブからは年額4千円から3千5百円への減額について根強い反対意見が寄せられています。
 
 そんな中、齋藤知事が来年度も老人クラブへの助成金は4千円を維持し減額はしないとの方針を示された一方で、その結論に至った検討経緯については今一つすっきりとした理解には至っていません。そこで老人クラブへの活動助成金見直しと現行額維持の決定に至った検討内容についてと、併せて助成額の今後の見通しについても伺います。

答弁 斎藤元彦 知事

 3月の県政改革方針では、コロナ禍における老人クラブの活動の縮小や、市町・関係団体等との協議・説明に要する時間などを考慮し、令和5年度からの見直しを目途に検討するということにしておりました。福祉部において、全市町を訪問し、担当課、老人クラブ連合会との意見交換、またアンケート調査なども行っています。老人クラブ自体がコロナ禍で活動が大きく低下するなか、制度のあり方を見直すべき時期ではないという強い声もいただきました。そのような経過があり、
①日常生活の身近な困りごとに関する支援活動への意欲
②クラブ数や会員数の減少見込み
③コロナ禍でも参加の場の減少
④活動再開のタイミングでの補助金の減額による活動低下への懸念
などの課題を認識いたしました。

それを踏まえ、
①高齢者や子育て世帯、障害者など世代や属性を問わない「共生型の助け合い活動」
②高齢者の社会参画を促す「会員の加入促進活動」
③「地域活動の再開やウィズコロナ時代に対応した新たな活動」
により、支援対象を拡充させた新たな枠組みによる助成を行って参りたいと考えています。

 今後は3年を目途に、老人クラブの活動状況や課題など踏まえ、支援対象や助成額について改めて検討いたします。高齢者の知識や経験を活かし、生きがいを追求しながら社会参加できる老人クラブの活動は、私が目指す「躍動する兵庫」の実現に大きく資するものであり、今後ともその活性化に向けて、老人クラブや市町とともに取組んで参ります。

(2) 介護予防の充実について

 コロナ禍においてはコロナ罹患による直接的な影響のほかにも、高齢者がこれまで参加してきたサークル活動のような通いの場に出向く機会の減少で身体の虚弱状態が進行、重度化するいわゆる「フレイル」が懸念されています。
県では、
①通いの場の積極的な再開等の呼びかけ
②通いの場等へのリハビリテーション職の派遣
③「生活支援コーディネーター」の養成研修の実施、さらには研修、専門家派遣等、様々な支援を行っています。

 介護保険制度では、介護予防事業は市町が実施主体で、県はその支援を行う立場であり、市町がその役割を十分に果たせないならば支援を待ちわびる虚弱状態にある高齢者はますますフレイルが進行してしまうことが予想されます。
 そこで県としてはきめ細やかに各市町のウィズコロナを踏まえた高齢者の現状を把握し、支援を必要とする市町に対して人的支援も含めて可及的速やかに包括的な支援を実施することが必要だと考えますが当局のご所見を伺います。

答弁 斎藤元彦 知事

 介護予防について県では、5月から7月にかけて、県内全市町を訪問し、地域課題やニーズの聞き取り、通いの場など取組状況の意見交換、助言・指導を行っています。また、介護予防の推進に向けた研修会や、市町が抱える課題をテーマに有識者を交えた情報交換会の実施、通いの場等にリハビリ専門職を派遣できる体制整備を図るなど、人材育成や確保に向けた支援を進めています。
 今後さらに、地域ケア会議等に派遣する専門人材の更なる充実、民間企業や関係団体との広域連携による市町支援の強化、老人クラブ活動について、より広く社会参加ができるよう補助事業の支援対象を拡充するなど、包括的な予防支援を進めて参ります。
 今後とも、県民が住み慣れた地域で、生涯いきいきと自分らしい暮らしを続けていただくことができるよう、ウィズコロナを踏まえた介護予防の充実に向けて、市町と連携ししっかり取り組んで参ります。