兵庫県内には、鉢伏高原、神鍋高原をはじめとする各スキー場が立地しており、スキー場とその関連施設の営業が観光業として冬季の地域産業の一翼を担うとともに、冬場の雇用の受け皿としての役割も果たしています。
しかしながら、近年日本においては、スキー・スノーボードなどのスノースポーツの愛好者人口は激減しており、特に20歳代では若者の総人口数自体が減少している影響もあり、実施率がバブル終えん期の1991年の38.6%から、25年後の2016年では13.7%へと減少がみられます。 学校単位での団体宿泊及びスキー学校利用が激減していることが主要な要因の一つだと考えられます。
私が副会長を務めております、兵庫県スキー連盟の春の評議員会では学校でのスキー・スノーボード実習の取りやめへの対応を求める痛切な声が届けられました。 例えば神戸市の小学校では、ほぼ全校実施だったのが令和2年度には、2割程度の学校が中止を検討しているようです。また、西播方面や姫路、また私の地元明石市でもスキー・スノーボード実習が減少傾向と伺いました。
これら急激な中止の流れの原因としては、スキーに青春の血を燃やした世代の学校教員が教員生活からリタイアされる時代となり、先導役がいなくなったこと、スキーを授業時間数に換算できないこと、行事に対する市の補助上限額が行事実施のハードルになっていること等が要因ではないかと考えます。 また、大阪府では、先生方の出張旅費規定の運用変更で宿泊費は認めるが食費は認めないなどとされたことで、スキー実習そのものが激減したと分析されています。
県下のスキー場で、これまで実施され、教育的効果を上げてきた学校単位でのスキー・スノーボード実習が急速に減少しているという実態を踏まえて、県教育委員会としての認識と今後の対応についてを伺います。
また産業振興やふるさとを意識しての地域振興の部分から、知事にスキー場を守り、そして兵庫のスキースポーツというものについて守っていくということについて、どのようなお考えをお持ちかを伺います。
答弁 教育長
ご質問の学校の実習活動は、学校行事の一環として行われている実習活動は、体験的な集団活動を通じて、社会生活で必要となる連帯感を高めたり、互いを認め合う気持ちを育むとともに、規律を守るなどの公共の精神を養うことを目的としております。多くの学校が行う修学旅行やボランティア活動等、校外の活動も学校行事として行われております。 どのような学校行事を実施するかは、各学校が目的や経費、準備に要する時間などを含め、最も効果的と思われる行事を選択していると認識しております。したがいまして、県教育委員会としてはその選択を尊重しているところでございます。
こうした中で、平成20年の学習指導要領の改訂以降、年間の標準授業の時間数が、小学校で70時間、中学校で35時間増加したことから、学校行事を見直さざるを得なくなってきております。その結果、学校外で行い、また活動時間の多いスキー、スノーボード実習が減少したと考えております。学校行事の選択という点では、やむを得ないものと受け止めております。
なお、国体をはじめ競技スポーツとしてのスキーの振興につきましては、兵庫県体育協会とともに、連携しながら、県教育委員会としても引き続き支援を行ってまいります。
答弁 井戸俊三 知事
学校行事自体で支えてきた部分もあるかもしれませんが、学校行事だけでは支え切れない状況が出てきており、さらにスキーの人口そのものも減っているという実情の中で、スキー場や地域の産業としてのスキーの振興というのに目を向けていかないといけないのではないか、このように考えます。
インバウンドも、私は非常に重視しており、神戸に泊まって日帰りでスキーができる、こういう環境は日本の中では北海道のようなところ以外ではなかなか見つかりませんので、こういう環境自身を大いにPRをして、神戸や姫路などに泊まっていただき、日帰りでスキーやろうよという呼びかけも必要なんではないかと思っています。
併せて、スキー場の立て直しを事業として実施していただいている、一ノ本氏のマックアースという会社も兵庫にありますので、そのような彼の活動ぶりも県内でも体系化していき、スキーを一つの大きな産業に持続させていくような基本的な方向で対応ができればと、私自身も願っております。