官と⺠が各々の強みを⽣かして協働することが、地域の観光振興にとって⾮常に重要である。また、地域創⽣の実現に向けては、但⾺や⻄播磨等の積雪地帯の観光振興が重要な課題であり、「厄介者の雪を地域資源に」という考え⽅で、ウィンタースポーツの振興を柱として観光振興を図ることが重要である。
特に積雪地域では、都市部のレジャー施設、観光施設との競争における条件的マイナス⾯を克服するために、国内外の旅⾏客が何に魅せられ旅⾏先として選定するのか、そのニーズや欲求を的確につかむマーケティングが必要である。地域の個⼈や⾃治体だけで取り組むには限界があり、⾼い専⾨性を有した第三者との協働の観点が不可⽋である。
例えば本県養⽗市には、全国のスキー場の再⽣に取り組む企業がある。厳しい経営環境のスキー場を次々と再建してきた実績があり、近畿、中部など全国34カ所を運営するマックアースである。事業再⽣のプロや専⾨企業をはじめ、観光事業者、地域の⺠宿や⾃治体が連携して協議会等の協働組織を編成し、実施計画を作成するなど体系的、戦略的に取り組むことが肝要である。
積雪地域の観光振興について、課題の現状認識とともに、今後どのように取り組まれるのか所⾒を伺う。
答 弁 井⼾ 敏三 知事
本県には、⻄⽇本屈指のスキー場が16あり、阪神間から2〜3時間とアクセスも良く、年間⼊込数は約90万⼈に達するなど、観光資源として⼤きなポテンシャルを持っている。しかし、⻑期的なスキー⼈⼝の減少、最近では暖冬による雪不⾜問題もあり、スキー場を取り巻く環境は厳しい。 こうした中で、スキー⼈⼝の減少に対しては、国内のウィンタースポーツ復旧振興に加え、新たに海外をターゲットにした取組が有効である。今年度は、雪体験へのニーズが⾼い東アジア・東南アジアを対象に、地元観光協会と協⼒して旅⾏博への出展やファムトリップを⾏った。さらに地域が取り組むパンフレット等、多⾔語化やアプリ開発などを⽀援し、外国⼈の受⼊環境の整備を進めていく。
スキー場を再建している⼀ノ本さんによると、⽇帰りスキーが出来るのは、世界中でスイスと⽇本しかなく、例えば、神⼾から⽇帰りスキーなど、外国⼈の受⼊機会を増やすことに努めたいと⾔っていた。この冬の雪不⾜においては、緊急の少雪対策を講じた。今後は、温泉や味覚などの地域の観光資源との連携、トレッキング、パラグライダーなどの年間を通じて楽しめるプログラムの提供など、積雪状況に左右されない誘客対策も不可⽋であると考える。
神河町の峰⼭⾼原では、豊富な雪地帯を活かし、冬場の観光地としてスキー場の新設が町により進められている。スキー場のブランド⼒を⾼めることについて、先進的な企業のマーケティング・斬新な企画等のノウハウを地域が共有し、官⺠⼀体となって取り組まなくてはならない。専⾨家を交えて、幅広い視点で検討する場を設けて、それぞれの強みを⽣かしたスキー場を核とする積雪地域の総合的な観光振興を推進していく。