県立明石公園におけるパークマネジメントについて (第357回令和4年2月定例会一般質問③)

(1) 公募による事業者選定について

 明石公園については、現在県から「リノベーション計画」が示されています。課題として
① 明石城跡のさらなる有効活用
② 老朽化したスポーツ施設の魅力アップ
③ 公園の新たな魅力づくり
④ ポストコロナに対応した公園の活用
 が挙げられリノベーションのテーマとして歴史的資源・スポーツを活かした地域観光、地域活性化の拠点整備が謳われています。

 また、兵庫県として初の民間によるパークマネジメント導入に向けた事業可能性調査も実施中です。この事業可能性調査は、キャンプ場、バーベキュー施設等の収益施設の整備やテーブルやベンチ・遊具の設置、公園の維持管理水準など、収益の活用により実現可能な公園の整備・維持管理、また県の投資内容、最低民間投資額、事業者選定に関する意見など、民間からの自由な提案を募っています。

 想定事業手法として
① 現行最大5年間のところを最大20年程度を想定した長期指定管理とし、公園の管理運営や維持補修のほか、新たな収益施設を整備するとともに、イベント企画・立案等公園全体の経営を行うこと
② 公園の一部区域内において、新たな収益施設を整備、維持管理し、その収益で投資費用を回収するとともに、広場や園路、ベンチ等を整備し、その維持管理を行うPark-PFI型施設整備
③ Park-PFI 型施設整備+公園全体の長期指定管理を組み合わせて公園全体の一体的管理を行う手法
 などを想定していると、県は発表されています。明石公園については、この事業可能性調査において民間事業者の参入意欲を確認し、公募条件を検討したうえで、令和4年度に事業者を公募されると聞き及んでいます。

 そこで、これまでこの明石公園を県の委託事業者として、その後には指定管理者として管理してきた兵庫県園芸・公園協会の扱いも含めて、新たなパークマネジメントを行うための公募による事業者選定について、どのように進めていかれる方針なのか、当局の現況における率直な所見をお伺いいたします。

答弁 斎藤元彦 知事

 21世紀兵庫長期ビジョンのもと県民主役・地域主導で兵庫づくりが進められ、県民局・県民センター毎の地域ビジョン委員による実践活動をはじめ、子育て、防災、健康、環境など様々な分野でビジョン実現に向けた活動が積み重ねられてきたことだと考えています。これまでの取組からは、多様な主体の参画が推進力になるとの教訓が得られた一方、担い手の高齢化に伴い、次世代を担う若い世代にどのように主体的に活動してもらうかが大きな課題となっています。

 「ひょうごビジョン2050」は、参画と協働の理念を引き継ぎ、県民が共にめざす姿を描き、地域から取り組む姿勢を基本的性格として掲げており、実現に向けては若い世代の参加促進と、地域の人材や企業などとのネットワークを築いていくことが重要と考えます。このため、まずは動画等、若い世代を意識した広報や出前講座などを通じてビジョンの認知度を高め、また公民連携プラットフォームを活かして事業者との連携強化をするとともに、県民局単位に地域づくりを担う多様な主体をつなぐ場づくりを進めていきます。

 さらに、県民同士や県民と行政が地域の未来について学び、語り合う対話の場の展開やワーケーション知事室や学生未来会議を活用し、多様な県民の皆様との対話を深め、「躍動する兵庫」の実現に向けた取組を進めてまいります。

(2) 樹木伐採を含めた自然保護の観点について

 明石公園の樹木伐採については「石垣の保全のため、石垣より5m範囲内で樹木は原則伐採する」との方針が示されています。これについて、木をむやみに切りすぎではないのかとの声が各方面から寄せられ、私のもとにも明石公園で長年にわたって自然観察会などを通じて子供たちなどに環境学習の場を提供してきた、専門家の方々からも相談が寄せられました。

 その対応として、専門家の方々に明石公園の自然を次世代につなぐ会の立ち上げ、その会の方々と担当部局での意見交換会と現地踏査を行いました。その意見交換会では、今後の明石公園のパークマネジメントに自然保護の観点をしっかりと盛り込むことや、貴重な自然の保護のために樹木の伐採に当たっては、具体に逐一専門家の意見を求めることなどが要望され、齋藤知事あての要望書も提出されました。

 私はこれら一連の協議の場を設定させていただいた立場として、極めて理性的に専門的観点で要望される専門家の方々にも、それに真摯に向き合っていただいている担当部局にも敬意と感謝を抱いています。しかし率直に申し上げて、切り株だらけの明石公園の現況は痛々しく、切りすぎなのではないのかなと映りました。

 そこで、JR明石駅・山陽電鉄明石駅に近接する交通至便な立地にありながら、豊かで貴重な樹木、草花、昆虫、野鳥などが生息する生態系が育まれており、環境学習や自然遊びのフィールドとして多く利用されている明石公園の樹木伐採を含めた自然保護の観点について、当局の所見をお伺いいたします。

答弁 まちづくり部長

 県立明石公園は広域の利用に供する都市であり、緑とオープンスペースだけでなく、スポーツ施設、史跡・文化財を有しています。特に、明石公園の南半分は史跡に指定されているため、文化財の保全と歴史的景観の維持向上を目的として、平成29年度に策定した「明石公園城と緑の景観計画」や、令和2年度策定した「史跡明石城跡保存活用計画」における「石垣の保全上影響のある樹木や密度が高い場所については伐採する」という方針のもと、専門家の意見を聞き、桜やモミジ、希少植物は残す等の配慮をしながら、城跡周辺の樹木伐採を継続的に行っています。

 樹木伐採につきましては、引き続き、定量的な事業効果を含めて、より一層の丁寧な説明、情報発信に努めて参ります。

 今後とも、生態系や文化財の専門家や地域の意見も聞きつつ、自然環境にも配慮しながら、樹木による石垣の崩落防止対策を行うなど、自然と歴史文化・スポーツなどのバランスをとって、公園の整備・管理を行って参ります。

(3) スポーツ競技場の整備計画について

 明石公園のリノベーション計画においても、老朽化したスポーツ施設の更新、維持、修繕が挙げられており、具体には第1野球場 ”明石球場”ではスタンドのリニューアル、スコアボードを含む内外装のリニューアルが、陸上競技場については多目的スタジアム化としてグラウンドの人工芝化などが、テニスコートではクラブハウスの更新が、自転車競技場では維持修繕が方針として示されています。

 しかしその一方で、明石球場も陸上競技場も自転車競技場も耐用年数経過後は「施設更新せずに明石城跡を活かした整備を検討」、つまり廃止するということです。また、明石陸上競技場も将来のスタンドの廃止問題のみならず、直近には公認競技場から外れてしまう危機にあります。

 そこで、明石公園における各スポーツ競技場の整備計画など今後の方針について、当局のご所見をお伺いいたします。あわせて明石陸上競技場の公認申請について、審査機関と協議の余地はないのかについてもお伺いいたします。

答弁 まちづくり部長

 明石公園の史跡区域に関しては、掘削など、その現状を変更し、又その保全に影響を及ぼす行為をしようとする場合は、文化財保護法に基づく許可を受ける必要があります。第1野球場等は史跡指定時に区域から除外されていますが、藩主の屋敷などが立地していたため、埋蔵文化財調査に長期間要するとともに、遺構を破壊するような施設更新を行うことは困難であります。

 このため、議員ご指摘のとおり、令和3年6月に策定したリノベーション計画において、長期的には明石城跡範囲内のスポーツ施設、具体的には第1野球場、陸上競技場、自転車競技場等は耐用年数経過後、明石城跡を活かした整備を検討することとしています。

 また、陸上競技場は令和4年度末に第3種公認の更新申請期限を迎えますが、日本陸上競技連盟の公認条件が変更され、レーンの幅を3cm狭くすることを求められています。県の財政事情も踏まえ、公認条件の変更に対応するための多額の改修費用の支出は困難であることから、現行レーン幅のままでの公認継続を認めるよう、兵庫陸上競技協会、明石市陸上競技協会とともに、日本陸上競技連盟に対して要請していきたいと考えています。